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4.232018
事業用の資産を売却した場合の所得区分

こんにちは!
京都、宇治市のきさくな税理士のひらやまです。
夜間に事務所の窓を開けると、前の公園から大量の虫が押し寄せてきます。
そんな季節になってきたんですね。
さて、本日のテーマは、『個人の方が事業で使用している資産を売却した場合の税金上の処理』となります。
事業で使用している資産?
ご商売で使用されている車とか機械をイメージしていただければよいかと思います。
ただし、事業で使用していると言っても、土地や建物などについては、本稿の取り扱いとは異なることとなりますのでご注意ください。
これらの資産を売却された場合は、事業所得等の収入になるのか、という質問がよくありますが、
結論から申し上げると、事業所得とは別に税金を計算することとなります。
事業用資産の売却による所得区分
ご商売で使用されている資産を売却した場合は、事業所得の収入にはならない(事業所得にはならない)ことについては、既に述べたとおりですが、
では収入にあげなくてもよいのか、ということではありません。
事業用資産を売却された場合は、10種類ある所得区分のうち、(総合)譲渡所得として申告することとなります。
譲渡所得と言いましても、総合課税(他の所得と合算)であるため、土地や建物を売却したときの分離課税(他の所得と切り離して税金計算)ではありません。
所得区分を間違えてしまうと、税金の計算が正しくされなくなるためしっかりと確認しておきましょう。
事業用資産の売却による具体的な計算
譲渡所得の計算は、売却価額から売却した資産の帳簿価額を差し引きして、儲けが出ていれば事業所得にプラスして所得税が課税されます。
一方、上記のとおり、計算した結果、損失が出ていれば(儲けが出ていなければ)事業所得からその損失分を差し引くことができます。(損益通算)
計算例として、下記をご覧ください。
[例1]
車両売却価額 200万円
車両の帳簿価額 70万円
事業所得の金額 600万円
車両の売却による儲けは、売却価額200万円-帳簿価額70万円=130万円となります。
簡単な計算ですね。
(総合)譲渡所得の計算では、ここから特別控除として50万円を差引きできます。
従って、事業用車両の売却による税金計算上での儲けは、上記で計算した儲けからさらに50万円を差引きして、
80万円(130万円-50万円)となります。
事業所得は、600万円ですから、600万円+80万円=680万円が総所得金額となります。
[例2]
車両売却価額 100万円
車両の帳簿価額 70万円
事業所得の金額 600万円
車両の売却による儲けは、売却価額100万円-帳簿価額70万円=30万円となります。
次に、(総合)譲渡所得の計算では、50万円が差引きできるので、
30万円-50万円=△20万円
とはなりません。
50万円は、儲けを限度として差引きできるルールになっているため、儲けの30万円が限度額となります。
従って、30万円-30万円(≦50万円 ∴30万円)=0円となります。
総所得金額は、事業所得600万円+0円=600万円となります。
[例3]
車両売却価額 30万円
車両の帳簿価額 70万円
事業所得の金額 600万円
車両の売却による儲けは、30万円-70万円=△40万円です。
事業用の車両を売却して、40万円の「損」が出たということですね。
この例の場合の総所得金額は、事業所得600万円+△40万円=560万円となります。
なお、50万円を差引きできるのは、儲けを限度としてなので、
そもそも儲けが出ていない場合は、当然ながら50万円は差し引くことはできません。
※今回の例では、保有期間については、一切考慮していません。
保有期間が5年を超える場合は、儲けから50万円を差引きして、さらに2分の1ができます。
本日はこのあたりで。