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コインチェック事件と税金についての私見

こんにちは! 京都、宇治のきさくな税理士のひらやまです。   昨日未明に、仮想通貨の大事件がありました。 今朝の新聞でも一面のニュースとなっています。  

コインチェック事件の概要

  コインチェック株式会社が、セキュリティハックを受け、顧客の仮想通貨「ネム」が大量送金されたました。 その額なんと、「580億円」と言われています。   昨年の平成29年は「仮想通貨元年」とも言われるくらい、仮想通貨の人気に火をつけた年でしたが、 その「仮想通貨元年」からでは、世界規模のニュースになりました。   この「580億円」の保証や企業コンプライアンスをめぐり、昨日の23:30から、コインチェック株式会社の緊急記者会見が行われていました。 わたしも当然LIVEで見ておりました。 各記者達の鋭い質疑がされていたなかで、特に印象に残ったものとして、「毀損についての保証」と、「セキュリティ面」でしょうか。 「580億円」という金額を保証できるかと言えば、正直現実的ではないでしょう。 財務内容の開示を要求する記者もいましたが、非上場会社は、有価証券報告書の作成義務がありません。 また、会社法においては、非上場会社の官報への決算公告の義務がありますが、ほとんどの会社は公告していません。 なので、株主や債権者以外への財務内容の開示がされないのが通例となっています。 この記者の質問の意図は、財務内容を見て「580億円」の保証ができるか確認したいということは、火を見るより明らかです。 さらに、ネム財団からは、ハードフォークはされないという見解が発表されています。 なので、保証も含めたロールバックについては非常に難しくなるでしょう。  

保証が受けられない場合の税金に関する私見

  さて、話は変わり、この「580億円」の保証が受けられないときの税金の取り扱いについて、わたしの私見を述べていきます。   株式などについては、上場廃止などに伴い、株式が「紙きれ」になる場合があります。 この場合、税務上は損失を申告すれば、以後3年間の繰越ができます。 このお話については、以前のわたしのブログについても書いておりますのでご参照ください。 したがって、翌年以降で株式等の取引において、利益が出た場合、通算(相殺)ができることとなります。   一方、今回の仮想通貨の損失についてですが、 仮想通貨の申告は、事業所得又は雑所得(総合課税)とされています。 仮想通貨の確定申告1 仮想通貨の確定申告2 仮想通貨の確定申告3 仮想通貨の確定申告4 仮想通貨の確定申告(最終章) とりわけ、多くの納税者は、事業的規模ではないということで、雑所得(総合課税)とされるでしょう。 しかし、この雑所得(総合課税)では、損失が生じても株式等のように、損失の繰越ができません。   これほどの大事件となりましたので、詳細は国税庁から損失の取り扱いについて公表されるものと思いますが、 わたしの私見としては、「雑損控除」の適用の可能性を考えています。   雑損控除は、所得税法第72条に以下のように規定されています。  
(雑損控除)
第七二条 居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山株所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額
二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額
三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額
 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
 第一項の規定による控除は、雑損控除という。
  この適用を受け、繰越控除が認められるためには、仮想通貨が「生活に通常必要である資産」に該当する必要があります。   わたしは仮想通貨は円貨と同じいわゆる、現金同等物と考えています。 その考え方かたすると、仮想通貨も当然ながら「生活に通常必要な資産」に該当してもおかしくはないと思います。 銀行預金の代わりに仮想通貨預金をしているという考え方ですね。 世間では仮想通貨と言えば、「投資」の一種、と言われていることが多いですが、 今やビットコインのように『世界共通通貨である』とも言われています。 現金が盗難や横領にあえば、雑損控除の適用があります。 仮想通貨についても、上記のとおり、雑損控除の適用があってもおかしくないと考えています。 いずれにしても、国税庁から見解が発表されると思いますので、今後の動向について注視していきたいと思います。   本日はこのあたりで。   ひらやま税理士事務所では、平成29年分の所得税の確定申告の受付を開始しております。 早期割引制度や無料の訪問相談もございますので、ぜひご利用ください^^

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