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平成31年度確定申告の改正点、留意点

こんにちは! 京都、宇治市のきさくな税理士のひらやまです。   はや今年も12月となり、あっという間に一年が終わりに近づいています。 そして年が明けると確定申告シーズンが到来します。 本日は確定申告を目前に控え、平成31年度の個人課税関係についての改正項目をみていきたいとおもいます。    

住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 

(1)改正の背景

2019 年 10 月に消費税率が 10%へ引き上げられますが、それに伴う景気の冷え込みが懸念されています。税率が5%から8%に増税された 2014 年度は、家計支出が前年度比で▲5.1 ポイントまで落ち込み、さらに 16 年度まで3年連続でマイナスになったことから、今回も大きな影響が出ることは避けられない見通しです。 とりわけ影響を受けるとされるのが住宅需要であり、景気への影響も大きいことから、その緩和策として「住宅ローン控除」が拡充されることになりました。  

(2)改正の概要

消費税率引上げによる住宅の需要変動を平準化するため、消費税率 10%が適用される住宅取得等について、税額控除期間が従来の 10年から 13年に拡充されることになりました。 11 年目以降の税額控除額は以下の通りです。
■一般の住宅の場合の税額控除額 次の(イ)(ロ)のうちいずれか少ない金額 イ)住宅借入金等の年末残高(4,000 万円を限度)×1% ロ)[住宅の取得価額(費用の額)-取得価額(費用の額)に含まれる消費税額等] (4,000 万円を限度)×2% ÷ 3 ■認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合の税額控除額 次の(イ)(ロ)のうちいずれか少ない金額 イ)住宅借入金等の年末残高(5,000 万円を限度)×1% ロ)[住宅の取得価額(費用の額)- 取得価額(費用の額)に含まれる消費税額等] (5,000 万円を限度)×2%÷3
上記の改正は、消費税率 10%が適用される住宅等を取得し、2019 年 10 月1日から 2020年 12 月 31 日までの間に居住の用に供した場合に適用されます。    

空き家に係る譲渡所得の特別控除の延長

 

(1)改正の背景

総務省の調査によると、日本全国にはおよそ 320 万戸もの空き家(賃貸・売却用を除く)が存在することが明らかになっています。 適切な管理が行われていない空き家は周辺の生活環境に悪影響を与えることから、「空き家の発生抑止」および「空き家の有効活用」は社会全体の大きな課題です。 こうした課題を解決するため、平成 28 年度税制改正では「空き家に係る譲渡所得の特別控除」が創設されました。 この制度は、被相続人が生前居住していた住宅を相続し、相続人が 2019 年 12 月 31 日までに売却した場合に、譲渡所得の金額から最高3千万円が控除できるというもので、相続した自宅が次の要件を満たす場合の譲渡について適用を受けられます。  
■改正前の適用要件 ①昭和 56 年5月 31 日以前に建築されたこと(旧耐震基準建築物) ②区分所有建物登記がされている建物でないこと ③相続の開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋で、被相続人以外に居 住をしていた人がいなかったもの ④相続の開始日から3年を経過する日の属する 12 月 31 日までに、その家屋を除去または耐震 リフォームをして譲渡した場合
  「空き家の発生抑止」「空き家の有効活用」をより強力に推し進めるため、被相続人が老人ホーム等に入居していた場合であっても、一定の要件を満たす場合に限り、上記③の要件を緩和して、本税制が適用可能になります。  

(2)改正の概要

老人ホーム等に入所したことで被相続人が居住しなくなった家屋及びその敷地は、一定の要件を満たす場合に限り、相続開始直前に被相続人が居住していたものとみなして、同制度の適用が受けられることになりました。  
■新たな適用要件 ①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホ ーム等に入所をしていたこと ②被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、そ の者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付の用又はその者以外の者の居住の用 に供されていたことがないこと
上記の改正は、2019 年4月1日から 2023 年 12 月 31 日までに行う譲渡について適用されます。    

ふるさと納税制度の見直し

 

(1)改正の背景

ふるさと納税制度がスタートして 10 年になりますが、近年、過度に高額な返礼品を出す自治体が現れ、本来の制度趣旨から大きく逸脱しているという問題が発生しています。  

(2)改正の概要

ふるさと納税制度の健全な発展に向けて、過度な返礼品を送付して、制度の趣旨をゆがめている地方公共団体については、ふるさと納税の対象外とすることができるよう、制度が見直されます。  
■改正の内容 ①総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象として指定する こととする。 イ)寄附金の募集を適正に実施する都道府県等 ロ)イ)の都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす都道府県等 ・返礼品の返礼割合を3割以下とすること ・返礼品を地場産品とすること。 ②①の基準は総務大臣が定めることとする。 ③指定は、都道府県等の申出により行うこととする。 ④総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等には、指定を 取り消すことができることとする。 ⑤総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならない こととする。 ⑥基準の制定や改廃、指定や指定の取り消しについては、地方財政審議会の意見を聴かなければ ならないこととする。
上記の改正は、2019 年6月1日以後に支出された寄附金について適用されます。    

NISA、ジュニアNISAの見直し

 

(1)改正の背景

従来、NISA 口座開設者が海外勤務等により非居住者となった場合、NISA 口座が閉鎖(廃止)され、NISA 口座に預けている上場株式や株式投資信託等は特定口座又は一般口座に移管され、非課税の適用を受けられなくなっていました。 海外勤務が珍しくなくなってきた昨今、働き方の違い等によって税制による支援が異なることが課題とされていました。  

(2)改正の概要

こうした課題に対応するため、NISA について次の改正が行われます。   ①一時的に出国する場合の取扱い 非課税口座を開設している居住者等が継続適用届出書を提出したとき、出国時から以下のいずれか早い日までの間は、その者を居住者等とみなして非課税措置が引き続き適用されます。  
イ)帰国届出書の提出をする日 ロ)継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の 12 月 31 日 ■改正のイメージ 注 1)帰国届出書の提出をする日までは、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定又は累積投資勘定に上場株式等を受け入れることができない。 注 2)継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに帰国届出書の提出をしなかった場合には、同日においてその者が非課税口座廃止届出書を提出したものとみなす。 注 3)国外転出時課税の対象となる者(1億円以上の有価証券等を所有等している一定の者)は継続適用届出書を提出できない。
この改正は、2023 年1月1日以後に設けられる非課税口座について適用されます。   ②成人年齢の引下げに伴う対応 2022 年に成人年齢が 18 歳に引き下げられることを受け、NISA 及びジュニア NISA の年齢要件も併せて引き下げられます。  
NISA      20 歳以上 その年1月1日において 18 歳以上 ジュニア NISA 20 歳未満 その年1月1日において 18 歳未満
上記の改正は、2023 年1月1日以後に設けられる非課税口座について適用されます。    

確定申告書の簡便化

 

(1)改正の背景

納税者の利便性向上のため、確定申告に添付する書類や記載事項が一部、簡素化されることになりました。  

(2)改正の概要

①確定申告書に添付する書類の省略 確定申告書に添付して提出する書類のうち一部のものについては、その提出が不要となります。今後、提出が不要になる書類は以下のとおりです。
(イ)給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票 (ロ)オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書 (ハ)配当等とみなす金額に関する支払通知書 (二)上場株式配当等の支払通知書 (ホ)特定口座年間取引報告書 (へ)未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書 (ト)特定割引債の償還金の支払通知書 (チ)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例を適用する際の相続税額等を記載した書類
上記の改正は、2019 年4月1日以後に提出する確定申告書等について適用されます。   ②所得税の確定申告書の記載事項の簡素化 年末調整で適用を受けた所得控除の額と、確定申告で適用を受ける所得控除の額が一致している場合、確定申告書には「所得控除の額の合計額」のみを記載すれば良いこととされます。     本日はこのあたりで。

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